3−2:駅、広場、カフェ、これらを繋ぐ街路を対象としたデザイン
1章で私は、通勤時の駅、新興住宅地、そしてカフェを例に、他者を意識していない 都市空間の現状と、それらがどのように変化すると、他者を意識する空間と言えるのか を説明した。ここでは、駅、広場、カフェ、そしてそれらの場所を利用する都市生活者 の生活を対象に、既に説明した二つの方法によって他者を意識する空間を作り出すデザ イン案を説明する。主な想定利用者は、駅近くに住み、電車に乗って通勤する会社員で ある。通勤のための移動とともに、駅、駅近くの広場、そしてカフェに配置されたオー プンライトの利用を始め、数週間で、今まで意識していなかった他者を意識し、顔見知 りになってゆくという効果を想定したデザイン案である。
図 1:想定利用者の移動経路とオープンライトの配置
上記の図で M、1、2、3、という記号があるが、それぞれ
- オープンライト M 利用者の携帯端末(利用者と共に移動する)
- オープンライト1 駅のアトリウムの照明(方法1のため)
- オープンライト2 駅近くの広場の照明(方法1および2のため)
- オープンライト3 カフェの照明(方法1、2と商業空間のため)
と対応する。M を除き、それぞれの場所に固定して設置される。これらのオープンライ トは、想定する利用者の帰宅時の移動経路に沿って配置している。オープンライト利用 者の典型的な帰宅時の経験は以下のようなものだ。
- 利用者はオープンライト M を起動している。
- 駅で電車を降りた利用者は、改札をぬけてアトリウムを通る。オープンライト1 のエリアを通る。利用者の設定した色にライト1が反応する。自分の覚えている 自分の色と違う色の光になっていることに気付き、他の利用者を目で追う。
- 利用者はカフェに向かう。その途中、ライト2のエリアを通る。その反応はライ ト1と同じ。
- カフェに到着した利用者はコーヒーを注文して席に座る。気持ちが落ち着くとと もに、テーブルの明かりは自分の色から再びカフェの柔らかい色に戻ってゆく。ふとその光が違う色に変化したので周囲を見回すと、時々会う女性と目が会った ので、会釈した。
このような毎日の経験に対して、1、2週間に一度程度発生するイベント、祝祭が以下 のように発生する想定で設計をする。
- ライト2のエリアで、ダンスの練習をする学生のグループに出会う。
- 自分自身で、ライト2のエリアをゴールに、ジョギングする。
- カフェで、誰かの誕生日のお祝いに出くわす。
ここからは、M、1、2、3のそれぞれのオープンライトの設計を説明する。